
一般社団法人「日本きもの文化伝承推進機構」(文京区目白台1)が3月20日、着物文化の継承を目的とした新たなプロジェクトを始めた。
その一環で、新宿区落合の湯のし専門店で使われていた「湯のし」機械の譲渡先を探している。同店は2023年4月に閉鎖され、譲渡先が決まらない場合、機械は6月に処分される予定。
「湯のし」は、着物の仕上げ工程で欠かせない伝統技術の一つ。生地に蒸気を当てて、しわを伸ばし、風合いを整える役割を担う。今回の譲渡は、着物製造の技術や文化を次世代に継承するのが目的。現在、機械を活用できる企業や団体、教育機関などからの申し込みを受け付けている。
同法人は2023年に設立され、技術の継承や需要の喚起、生産の継続を目的に活動を展開。これまでに着付け教室や伝統工芸のワークショップを開くなどして、地域住民や若年層への啓発に力を入れてきた。今回のプロジェクトは、着物産業の衰退が進む中、貴重な技術や設備を未来へつなぐ取り組みに位置付ける。
理事長の郡成憲さんは「着物を支えてきた職人の多くが高齢となり、後継者不足が深刻化している。湯のし機械も着物作りには欠かせない設備の一つ。これを次世代に引き継ぐことで、小さな取り組みながら、着物文化の持続可能性を高めたい」と話す。